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「やっていればできる。できたら嬉しいし、それが次に進む自分の力になる」

このことについて書いていこうと思います。

まずは、高等学校の時を振り返ってみます。残念ながら希望に満ちあふれた生徒ではありませんでした。クラブ活動にも参加していませんし、授業や勉強にも身を入れてやっていませんでした。家に帰ると寝てしまい、ご飯を食べて、次の日同じように学校に行くという様子です。非常に残念な姿です。そんな自分は学業について、「やってもやらなくても同じ、勉強をやる意味を感じない」と生意気にも考えていました。高校3年生になり受験の時期に向かうと、それなりに勉強をやろうとはしているようですが、付け焼き刃感が明らかでした。大学には志望する大学に合格することができました。留学に力を入れている大学で、留学の色々なプログラムがあります。しかしながら、受験のための英語学習で語彙構文を覚えて、文章を読んで作文をしてという勉強をしていたので、この時点で英語を話す練習はしていませんでした。大学1年時のネイティブの先生の授業では4領域に力を入れる先生だったので、課題など授業についていくのに非常に苦労しました。ただこの時の自分に話を聞くとすると、「高校時代とは明らかに違うことがある。勉強する意義を見つけられている」と言っていると思います。

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具体的にはその大学は、TOEFLという英語試験の点数を様々な英語関係のプログラムの要件として挙げています。例えば、留学生と授業を受けられる特別なプログラムに参加するためにはこの点数以上、1年間もしくは2年間、海外の大学の学部に留学する試験に申し込むためにはこの点数以上というように、明らかな規準を設定していることです。スコアについては正確に覚えているわけではありませんのでおおよその点数で述べますが、大学1年生の入学の時には、TOEFLで420点でした。前期授業が終わる頃には、460点でした。日々の大学の授業を受けながら英語を伸ばし480点、2年生になる頃には500点に乗りました。2年次までに、先に述べたようなプログラムに、TOEFLの点数を基準に参加することができたのでやりがいを感じていました。2年生になる頃には、2年間の留学に行くという目標を持ちました。1年生の頃から教職課程を履修しており、教育学や第2外国語として履修していたフランス語を現地で学びたかったのです。そのプログラムのTOEFLの基準点は550点で夏季休暇後に試験があるということで、夏季休暇前で520点だったのでまだまだ足りていませんでした。信頼のおける大学の先生にTOEFLの勉強方法を聞いて、間違ったところをなぜ間違えたかということを分析しながらするようにという指導を受けて、夏季休暇は朝から晩まで図書館にこもりきりTOEFLの学習に取り組みました。その結果、夏季休暇後のスコアは583点となり留学のプログラムの試験に申し込むことができ無事合格しました。その時の学習観については、高校の時は意義を感じられなかったものが、勉強をすることでまるで新しい旅のチケットを獲得できているイメージでできていました。つまり、学習それ自体が自分の可能性を広げるものになっていました。

時計を進めます。大学を卒業して、私立学校の教員となり公立学校の教員となりました。初任校で自分が担任する生徒が3年生になったころ、生徒と一緒に頑張れることをしようという思いがあり、これまで勉強してきたフランス語検定の準1級の取得を目指しました。英語はある意味留学を通して獲得したので、フランス語は勉強して獲得したいという思いで努力をした結果、合格することができました。その時に確信をしたことは「やっていればできる。できたら嬉しいし、それが次に進む力になる」ということでした。今まで、高校の時からぼんやりと無意識のうちに芽生え大学や留学、教員生活を通して思っていたことが明確になりました。次の異動校は、定時制高等学校でした。ここには、中学校での生活で不登校や学習に関する障害など色々な背景がある生徒がいます。担任として自分がクラスに掲げたのは、「やっていればできる。できたら嬉しいし、それが次に進む力になる」というテーマです。LHRや、クラスで話をする時には常にかかげました。どこまで伝わったかは分からないですが、英語の授業であっても欠時遅刻が多い生徒であっても、生徒自身が必ず克服できるという信じることができるようになりました。その上で、自分の仕事は、その課題を克服するために、目の前の生徒に対し生徒が必要としている適切なサポートをすることであると考えています。

このようにして自分のティーチャーアイデンティティを形成してきました。ノーベル賞受賞者の山中 伸弥教授が大切にされている言葉にも、VisionとHard Workがあります。ティーチャーアイデンティティとは、Visionと言い換えることができると思います。これがあってこその Hard Work、生徒に対してサポートをすることができます。最後に、それは教師としてのアイデンティティでもあり、自分のアイデンティティでもあります。家庭人としても、同じように自分の子どもにもできる喜びとそれが次に向かう力になることを伝えていきたいと考えています。

 

 

2021年6月 宮田 倫

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