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What is your answer?
These are questions to understand
why you do what you do
you don't have to answer all of them. Just stick to the ones that stand out to you.
-----------------------------------------
あなたの答えは何ですか。
これは自分を認識するための質問です。
すべての質問に答える必要はありません。心に響く質問があればそれについて、考えてみましょう。
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「場と人とプラスしあえる人であれ」という言葉を私は教室に掲げています。私はいま高校で「国際教養コース」という1クラスの担任をしていて、卒業まで持ち上がりです。ですから私はこの言葉を同じ生徒たちに3年間掲げ続けることになります。
学生時代に、カナダやアメリカの多様性ある街でしばらく暮らしたときに私が好きだったのは、共通点(common ground)を大切にしよう、という構えでした。そもそも全員違うのは当たり前なのだから、分かり合えるところに目を向けよう。差異ではなく、一緒に立てる場所を大事にしようという価値観は、もちろん全員が持っているわけではないにせよ、現地でいろいろな形で実感するものでした。そして私は、日本ではあまり見聞きすることがないな、とも思いました。日本ではやっぱりみんな何となく一緒であることが暗黙の前提で、どうしても違いのほうに目が向いてしまいます。教師になったとき、私はそうではない方向も大事にしていきたいと考えました。
「コモングラウンドを探して」
それは自分自身に対する捉え方とも関係していたのかもしれません。私自身、ダメなところもたくさんあって、でこぼこしている。もちろん苦手克服にも取り組むんだけれど、でもそこだけで評価されると厳しくて、自分の得意技があって何かに貢献できるなら、それで良いんじゃないかとも思っていました。他人もそうで、みんなが自分の長所を出し合って補い合えば、必ずしも欠点は問題にしなくてもいいんじゃないか。いささか楽観的に過ぎるのかもしれませんが、もっと得意を伸ばす方向が意識して大事にされてもいいのではと私は常々感じていました。
換言すると「個性を大切に」などという、ともすると陳腐な言葉になってしまうのかもしれませんが、でも私は30歳を過ぎてもう一度アメリカで過ごしたとき、このことを深く実感しました。英語では、just the way you are、あなたはあなたのままで良い、というようなフレーズをよく耳にします。やはりどこか安直で手垢にまみれた印象さえあります。でもシアトルの高校に赴任して外国人として暮らしてみて、私が一番腑に落ちたのはこの言葉でした。その意味が初めて分かった感覚がしました。学生時代に海外にいたときには、私はたとえば英語を話す点においてはネイティブみたいになりたいと思っていました。限りなくネイティブに近づくことが目標でした。でもそれはどだい無理な話でした。結局のところ、私は日本で生まれ育って、英語を後天的に学習した外国人なのです。だから、外国人として英語を話せばよかったのです。なぜなら私はノンネイティブだから。それが私だからです。
こんな風に考えるようになったのは、私が30歳を過ぎたおじさんになって、学生時代のようなギラギラとした意欲を失ってしまったからなのかもしれません。でも私はこの「自分は外国人なんだから、外国人として英語を話せばいいんだ」という当たり前のことに気づいてから、すっと気が楽になりました。別に目の前のネイティブと同じようになる必要はないのです。私は日本で生まれ育ってきたことも含めて、自分のバックグラウンドを込みで普通に自分でいて、普通に自分の英語を話せばいいのです。むしろそのことが大切なのです。そのことを通じてcommon groundに立っていくことがやるべきことだったのです。
いま私のクラスにも、様々なバックグラウンドの生徒がいます。これは何も国籍や文化的な意味でだけ言っているのではありません。いわゆる日本人の両親のもとに生まれて日本で育っていても、実際には個々人のバックグラウンドは多様で、それぞれは全く違う別の人間です。じゃあどうやったらお互いにプラスし合えるんだろうか。それを普段から考えて日々他者と接していくことが、学校生活で何より大切なことではないかと思います。それは私自身にダメなところがたくさんあるから余計にそう思うのです。そして日本人は、とくくると確かに乱暴な物言いではありますが、やっぱり集団や場全体のことを考えて振る舞うのが得意です。宇宙飛行士の若田光一さんも、アジア人として初めて国際宇宙ステーションの船長になったとき「和の心」という言葉を掲げていました。これが私たち日本人の一つの得意技なのです。だからこそ、単に同化して差異を見ていくやり方ではなくて、反対に、差異とcommon groundを大切にしながら場全体につながっていけたら、それが私たちが日本というバックグラウンドを持ちながら国際社会に貢献していける一つの形なのではないかと私は考えています。私は自分の学校やクラスという小さな場から、そういったことを日々わいわいとやっていきたいという思いで生徒と過ごしています。
2021年3月 竹森 康祐